航空情報科

研修の概要
 本科航空情報科では、卒業後、全国各地の航空官署で航空管制運航情報官または航空管制通信官として活躍するために必要な基礎知識、技能を習得します。

 航空管制運航情報官は、航空機の運航に必要な情報の収集・提供をはじめ、飛行計画の審査、航空機の運航に関する許可、航空機の捜索救難、滑走路や駐機場などの飛行場面管理、更に無線を使用して航空機の運航をサポートするための情報提供及び管制機関と航空機との間の管制承認等を中継するなど、多岐にわたる業務を行っています。

 航空管制通信官は、無線を使用し、主として洋上を航行する国際線の航空機に対して、管制承認等の伝達及び航行の安全上必要な情報等を提供する業務を行っています。
研修期間
2年
学科科目
心理学、法学、数学、物理学、英語、航空法規、電波法規、無線工学、航空気象学、航空機概論、ヘリコプター概論、航空情報業務論、航空通信業務論、飛行計画論、運航監視論、許認可論、危機管理論、計器進入方式、航空無線施設概論、航空管制概論、航空航法、対空援助論、管制通信論、飛行場情報論、ITインフラ概論など
実技科目
データ通信操作演習、飛行場対空援助演習、RAG演習、運航援助演習、管制通信演習、飛行場情報演習、広域対空援助演習など
飛行場対空援助演習

飛行場対空援助演習

運航援助演習

運航援助演習

管制通信演習

広域対空援助業務

校外研修
校外研修は基本的に1年次に2回、2年次に4回予定されています。
大阪空港事務所(航空情報科1年)
 情報科1年の校外研修先の1つである大阪空港事務所では飛行場対空援助業務及び広域対空援助業務が実施されています。航空管制運航情報官が業務を行う様子を見ることで、2年生から始まる「広域対空援助演習」等をイメージすることができます。
 令和6年度は1月に実施しました。大阪万国博覧会での空飛ぶクルマの飛行に係る対応についても話を聞き、貴重な時間を過ごすことができました。








八尾空港事務所等(航空情報科2年)
 情報科2年の校外研修先の1つである八尾空港事務所では運航援助情報業務及び飛行場情報業務が実施されています。制限区域内への立入手続きや航空情報の周知方法等の説明を受けることで、現場の航空管制運航情報官がどういう意識で業務を行っているかを感じることができます。
 令和6年度は6月に実施しました。滑走路点検に同行するなど、特に飛行場情報業務について知識を深めることができました。また、航空管制官、空港消防、大阪市消防局航空隊の業務も見学し、関係機関との関わりも確認することができました。









成田空港事務所・東京空港事務所等(航空情報科2年)
 情報科2年の校外研修先として、成田空港事務所、東京空港事務所、航空情報センター及び日本航空株式会社様の安全啓発センターがあります。
 成田空港事務所の東京国際対空通信局では国際対空通信業務が実施されており、太平洋区域を飛行する航空機との交信を見ることで、2年の「管制通信演習」の内容を実際に現場で確認できる貴重な経験となります。また、航空情報センターでは、航空情報に関する業務が行われており、品質管理業務や航空情報の編集・発行業務の説明を受けることで、1年の「航空情報業務論」、2年の「航空情報運用論」等の内容が現場で必要となることを再認識できます。
 東京空港事務所の東京救難調整本部(東京RCC)では航空機が緊急状態に陥った場合に捜索救難業務を実施しており、その説明を受けることで、2年の「危機管理論」「運航援助演習」等で学んだ知識をさらに深め、情報収集の重要性を再確認できます。また、飛行計画の受理や発着調整業務等を行う運航援助情報業務、滑走路等飛行場面点検や駐機場(スポット)の調整等を行う飛行場情報業務についても、1年の「飛行場情報業務論」、2年の「飛行場情報運用論」「飛行場情報演習」等の内容が重要であることを再認識できます。
 安全啓発センターでは、1985年のJAL123便御巣鷹山墜落事故を深く知ることで、安全運航の重要性を再確認する貴重な経験となっています。
 令和6年度は令和7年1月に実施しました。航空管制運航情報官が行う多くの業務を見ることができ、現場に配属前の2年生には集大成となる校外研修となりました。









SDECC(航空情報科2年)
 情報科2年の校外研修先の1つであるシステム開発評価・危機管理センター(SDECC)は大阪国際空港の近隣に位置しており、安全で効率的な運航というニーズに応えるため、またリスクに備えるため、システムの開発・評価・運用支援並びに危機管理に関する業務が実施されています。航空管制運航情報官が使用するシステムについて学ぶこと、また将来の配属先の1つである場所を見ることは学生にとって貴重な経験となっています。
 令和6年度は7月に実施しました。現場で今後導入予定のSWIMによる情報サービスを提供するためのシステムを体験しました。
 









南紀白浜空港(航空情報科2年)
 情報科2年の校外研修先の1つである南紀白浜空港では飛行場対空援助業務が実施されていいます。2年の「飛行場対空援助演習」等で学んだ内容を実際の業務で確認できることは学生にとって貴重な経験となっています。
 令和6年度は11月に実施しました。バスで南紀白浜空港まで移動し、管制塔で航空管制運航情報官が飛行場対空援助業務を行うところを間近で見ることができました。強風かつ降雨という悪天候のため、航空機はあまり飛行していませんでしたが、経験談等を聞くことで保安大での研修が業務に直結していることを感じることができました。また、滑走路上にバスで入り、「飛行場情報運用論」等で学習した滑走路面のグルービング(路面排水のために加工された溝)を確認することもできました。
 他にも空港内に設置されている気象測器の説明を受けたり、消防車両の説明も受けることができ、大変有意義な研修となりました。









大阪国際空港(航空情報科2年)
 情報科2年の校外研修先の1つである大阪空港事務所では飛行場対空援助業務、広域対空援助業務が実施されています。2年の「飛行場対空援助演習」及び「広域対空援助演習」で学んだ業務の内容を実際の業務で確認できることは学生にとって貴重な経験となっています。
 令和6年度は12月に実施しました。航空管制運航情報官が但馬・隠岐・石見・鳥取・能登・福井空港(RAG空港)に離着陸する航空機に遠隔で情報提供を行っている様子、飛行中の航空機からの位置通報や経路変更への対応や気象情報の提供等を行っている様子を見ることができました。
 また、日本航空株式会社様のオペレーションコントロールや株式会社JALエンジニアリング様の整備を見学し、運航者の業務を深く知る大変貴重な機会になりました。









実習交流 
 情報科では年に数回、管制科及び電子科との実習交流を実施しています。
 情報科1年は、管制科で飛行場管制業務や航空路管制業務等の実習体験、電子科でプログラミング等の実習体験を行います。情報科2年は、ホスト役として管制科研修生及び電子科学生に情報科の実習を体験してもらいます。体験内容は運航援助情報業務における飛行計画書の入力、国際管制通信業務における航空機との通信です。習得した知識・技能を「教える」ことによる知識の定着を目的とし、実習交流に向けて説明用パワーポイントの作成や当日の手順、役割分担など学生が考えて準備を行うことも学びの1つとしています。また、他科との交流を深め、航空保安業務に携わる者としてそれぞれの業務を理解し合うことも重要な目的としています。
 R6年度の管制科との実習交流は7月に実施しました。