航空電子科

システム専門官
システム専門官とは
 システム専門官は航空交通管制情報処理システムの企画、開発、評価、運用を主とした業務を行う航空交通管制情報処理システムのスペシャリストです。 航空交通管制情報処理システムは航空機の離発着を行う空港から航行中の航空機の管制を行う航空交通管制区の航空管制を行う機関管制部と様々な場所で活用されています。
 システム専門官はこれらのシステムの活用方法を決めたり(企画)、システムの詳細な機能をメーカーと協力して製造(開発)していくことや製造されたシステムが実際に運用に使用できるか確認(評価)することが求められ、とても責任のある仕事となります。 また空港や管制部などに整備されたシステムの不具合が起きないように、航空管制官や航空管制運航情報官、製造メーカーなどと協力して航空管制サービスへ影響を与えないよう、維持していくこともシステム専門官の重要な役割となります。
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システム専門官になるには
 システム専門官には航空管制業務はもちろんのことシステムを開発するための知識やスキルを習得していく必要があります。このためシステム専門官は航空保安大学校卒業後からシステム専門官としての学習を始め、卒業後の配属先官署で航空管制技術官となった後に、再度航空保安大学校で9か月のシステム専門官基礎研修を受講します。その後配属先官署で経験を重ねてシステム専門官となります。
 システム専門官には求められる知識やスキルが非常に高いことから航空電子科での2年間の養成課程の中で航空交通管制情報処理システムの開発等に意欲的な学生がシステム専門官候補生として選抜(各年度で5名程度)され、システム専門官への道へと進んでいきます。
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システム専門官基礎研修
 システム専門官基礎研修はシステム専門官を目指す学生が初めに受講する研修です。基礎研修では37科目と多岐にわたる分野を9か月間かけて学習することになります。システム専門官は航空管制業務についての幅広い知識が求められることもあり管制技術官としての業務だけではなく航空管制官、航空管制運航情報官といった航空管制に関する全ての業務についても学習していくことになります。それ以外にも情報処理システムの開発に必要なプロジェクト管理、プログラミング、ネットワーク、データベース技術、データ分析、IT法規などを学習し、研修内では実際に情報処理システムの開発を模擬します。
 また技術的なことだけではなく対人コミュニケーションやプレゼンテーション、ファシリテーションといったコミュニケーション、チームワーク、リーダーシップ、
状況認識、意思決定などを包含する総称であり、思考や
伝達といった専門技能を活かすために必要なスキル
ノンテクニカルスキル
も研修を通して培っていきます。
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  • 研究成果の発表
  • 本科生への講義
  • 管制システム演習
システム専門官基礎研修の科目
 ネットワーク理論、ソフトウェア開発概論、プロジェクトマネジメント理論、システム開発プロジェクト基礎、システム機能設計、システム実装設計、信頼性設計概論、ヒューマンマシンインタフェース概論、航空管制業務論、運航情報業務論、航空管制技術業務論、航空業務安全学、業務分析手法の基礎、管制情報処理システム概論、情報数学、情報と符号化、確率統計学、データサイエンス、データベース概論、ITとデータ分析、ソフトウェア工学、ソフトウェア開発特論、知的財産権の法律と実務、情報倫理と法律、情報セキュリティ概論、先端システム工学、管制情報処理システム業務分析、研究時間、Javaプログラミング演習、オブジェクト指向プログラミング演習、ソフトウェア開発基礎演習、ネットワーク演習、情報処理システム開発演習

朱字は実技科目

航空交通管制情報処理システムとは
 航空管制は航空機の運航情報を記録した航空機が飛行する際に提出される航空機の
飛行時間や飛行ルート、飛行速度等の情報
飛行計画
や飛行中の航空機の位置を捕らえる航空レーダーや航空機からの信号により得た航空機の飛行位置情報センサ情報など様々な情報を活用して航空機の運航を実現しています。これらの情報は元々紙に印刷して伝達したり、レーダーで捕捉した情報を光の点で表示し、航空管制官が頭の中で情報を整理していました。しかし航空需要が増加すると共に情報が増大化し、航空管制官が従来のやり方で処理することが困難となってきたことから航空交通管制情報処理システムが生まれました。
 航空交通管制情報処理システムは航空需要の拡大に対応するため機能や性能を拡張し続けていくことで今日の航空管制に寄与しているのです。今日における航空交通管制情報処理システムは航空管制にとって非常に重要であり、なくてはならないものであることからシステムが停止することの無いように航空管制技術官は日々航空交通管制情報処理システムの運用に心血を注いでいるのです。
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